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就活ルール撤廃について

みなさんこんにちは。株式会社人材研究所の代表曽和です。

今回は、2018年9月5日に経団連の会長から出ました、「就活ルールの撤廃表明」についての話をしたいと思います。

長期化していた就活生のみなさんの実態

基本的にここ数年、よく後ろ倒しと言われてましたが「3月に広報解禁、6月から選考解禁」ということで、経団連に入っている大手企業を中心に、就職活動の時期というのが決まっていました。今回の就活ルールの撤廃表明は、「3月に広報解禁、6月から選考解禁」という就活ルールをやめるということです。

実際は、みなさんご存知のように外資系企業やメガベンチャーをはじめとして、大学3年生の夏ぐらいからインターンなどを中心に、就職活動、採用活動をやっていたわけなんです。それが大手企業だと後ろ倒しになっているので、結局、学生のみなさんからすると、とても早い時期から就職活動をやってる会社もあれば、遅くまでやってる会社もあるということで、結局のところ就職活動、採用活動が長期化していたという実態があります。

しかし、もともと就職活動の時期は「学業を阻害しない採用をするために」ということで、大学や経団連が一応配慮するという形で現在のような時期にやっていた訳です。けれども、企業の人事担当をしていらっしゃるみなさんもご存知のように、結果として就活生のみなさんが外資系企業と日系企業併願しようと思ったら、夏から来年の6月までかなり長い間就職活動をすることになって、実は「逆の効果が出ていたんじゃないか」と私としては思っています。

そのため、今回経団連の会長さんが検討するとおっしゃられていた「就活ルールの時期制限の撤廃」というのは、いいことなんじゃないかなと基本的に思っています。

時期制限の撤廃はおそらく、2021年卒からなので、2020年卒は従来通りということで変わりません。ちょっと先の話になりますが来年の夏のインターンから、これが適用されることになると思います。一時的にはこういう時期制限とかが自由化されると、最初は混乱などが生じやすい訳です。ものすごく早い時期から実施する会社が出たりして批判されたり、人事の方が「いつ準備したらいいのかわからない」とか言い出したりなど、最初はこういうルールの撤廃や変更などが生じることによって様々なスケジュールや対応などが乱れると思います。神の見えざる手じゃないですけども、早くやりすぎても学生さんの方がそんなにまだ熱が入ってなかったり、遅けりゃ遅いで遅すぎたということがわかってきて、恐らく収れんすると思います。

というのも、大昔は就活の時期が自由化されてた時代もありました。

その頃というのは、だいたい大学3年生の秋くらいから、本格的にナビとかが開いて3年生の2月〜3月くらいが山場でした。そして、4月には内定が決まってるみたいな時代というのがありました。恐らくですけれど、またそのくらいの時期に収れんしてくるのではないかと思います。

大学生活は今も昔も変わっていない

基本的に、大学生活っていうのは今も昔もほとんど変わってません。

大学生がいつ就活に目覚め、いつぐらいから最後の卒論を書かないといけないか、研究しないといけないか。この辺りのスケジュール感が変わっていない中で、就職活動時期が自由化されると、あんまり早くやり過ぎても仕方ないですし、長期休暇などに合わせないといけません。「学業を阻害しないように」と言われているんですが、そんなことを言われなくても学業を阻害しないように、テスト期間中などではないところに選考・インターン・説明会を実施しない限り、学生さんは来ませんよね、基本的に。

ということを考えると恐らく、放っておいても最終的には長期休暇、年末年始あたりを中心とした形で、「秋に広報解禁、2〜3月辺りに選考の山場」が来て、テストが終わった大学4年生が始まるくらいにある程度の就職活動、特に大手の山場が終わるような昔の状態に戻るんじゃないかという気がします。ただ、どんなことが起こるかわかりませんので、これが当たるかどうかわかりませんけれども、「就活ルールの時期制限の撤廃」も何らかの形で収れんしていくことは間違いないと思います。

学業を一番阻害しているのは、時期ではなく「エントリーシート」

今回の就活ルール撤廃表明って、すごい大ニュースのように人事業界の中では取り扱われており、新聞とかではトップニュースで取り上げられています。はっきり言って「ちょっとズレているなぁ」と私は思っています。というのも、元々大学生の学業を阻害しないような就職活動をするというのは、それは僕は大賛成ですもう、ものすごい賛成です。

やっぱり学生の本分というのは学業であると。また、あるいは学業じゃなくても学生を謳歌するために、課外活動とかアルバイトやゼミとかサークルとか、そこに力を入れる。それを邪魔するような採用をしてはいけないということは、僕もそう思います。

ただ、勘違いしているというか、なぜかわからないなと思うことは、それがいつもすべて「いつの時期から就職活動するか」ということに収れんしてること。私は関係ないと思うんです、はっきり言って。今のような「就職活動時期をいつからやるか」といっても、「就職活動早い」といっても、年がら年中、1日中就職活動をしてる訳でもなければ、エントリシートを書いてる訳でもない。授業の合間に説明会へ行ったりするとかを実際にはしています。

じゃあ「いつから就職活動を始める」ということではなく「就職活動とか採用活動の何が、本当に大学生の学業あるいは課外活動、学生生活を阻害しているのか」と考えた時、私が一番阻害しているのは、エントリシートだと思っています。

エントリシートで、しかも「手書きで書け」みたいなものって、特に人気企業の方はぜひ止めてあげていただきたい、と私は思っているんです。一人当たり2時間とか3時間とか、下手すると第一志望だったら、いろんな人に見てもらって10時間もの時間を割いて、何回も書き直しをやっている訳です。これこそが本当に学生の時間を取っている。これはキャリアセンターの方も言ってますし、学生自身も言ってます。ですので、エントリーシートを書く枚数が減っています。今は12枚ぐらい、12社くらいしか書かないと思います。

企業側から見てもエントリシートを課すということは、12社の中に入るかどうかということがなければ、エントリシートを課すだけで採用選考を受けてくれない訳です。これらの意味でも採用する側の企業にとっても問題ですし、学生にとってはとても時間がかかるということです。

リアルな説明会をやめて、「オンライン説明会やリモート面接」で学生たちの学業を阻害しない

サイバーエージェントさんが、年間100回実施してたリアルな説明会を全てやめて、全部動画で「サイブラリー」というwebサイトだけでやる形態を取りました。それにより、全ての面でいろんな数字が良くなったと聞きます。もう本当に当たり前のことだと思うんです。リアルな説明会に来なければ、受験資格与えないというのはもう時代錯誤だという風に思ってます。動画でいいじゃないですか、あるいはですね、リモートの面接をするなど。未だに「オンラインやリモートをするか、しないか」なんていう議論をしていたり、実際にオンライン説明会やリモート面接を導入されてる所は、ある調べでは実質1割位しかないというデータもあったりして、私としては逆に驚きです。

東北や九州の方も沖縄の方でも、東京に受けに来いと言いますが「もう、スカイプでいいじゃないですか」という風に思う訳です。その移動時間だったり交通費の方が、学生の学業とかを阻害してるんじゃないかと。よっぽど、その採用手法の変革みたいなところの方が大事なんじゃないかと思っている訳です。

今回の就活ルールの時期制限撤廃というのは、ものすごく良いことだと思います。良いことというか、どちらかと言えば別にそれはあまり関係ないので、いちいち自由化すれば良いんじゃないかと。そうしなければ結局、その裏をかくような人が出てきて「企業も嘘をつかなければいけない」「人事担当者も嘘をつかなければいけない」というようなことがあるので、こういうことはやめたら良いんじゃないかと思います。

ただ、一方で相変わらず、学業を阻害しない採用活動ということについては、まだまだ全然検討がなされていないのが実情です。

時期を自由化してから、元々の「学業を阻害しないという目的が果たされたのか、果たされないのか」ということじゃないかと思います。本当に学生の学生生活を邪魔しない採用活動・就職活動については、課題として残っていると思われますので、ぜひ人事・採用担当のみなさんで考えていきたいと思います。

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