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公開:2026.08.20 最終更新:2026.08.20

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「助走は長く、選考は短く」 求人を出しても人が集まりにくい中小企業の採用戦略

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ベンチャー・中小企業の採用で、よく聞くのが「そもそも候補者が集まらない」という悩みです。求人を出しても応募が来ない。スカウトを送っても返信がない。ようやく会えたとしても、知名度や待遇で大手企業に負けてしまう。しかし、採用は候補者を大量に集めることだけが、答えではありません。候補者が少ないことはむしろ、勝ち筋にもなります。広く網を投げられないのであれば、一度つながった糸を切らさない採用をすればよいのです。

人は、一度の面接だけでは動かない

面接やカジュアル面談の場で、自社の魅力を一生懸命説明している企業は多いと思います。ただ、一度や二度話しただけで、候補者に「この会社に入りたい」と思ってもらうのは簡単ではありません。

特に、知名度の高くない会社に入る場合、候補者には不安があります。どんな人が働いているのか。経営者は何を考えているのか。会社は今後も成長するのか。入社した自分は、本当に活躍できるのか。こうした不安は、求人票や会社説明だけでは消えません。何度か話す中で、会社の考え方や実際の仕事を知ってもらう。企業側も、候補者が何を大事にしているのか、何に迷っているのかを知っていく。

その積み重ねがあって、初めて「この会社なら自分に合うかもしれない」という感覚が生まれます。

転職活動が始まってから会うのでは遅い

しかしながら「採用リードタイムは短い方が良い」とも言います。やや矛盾しているように聞こえる方もいるでしょう。これが、実は矛盾しないのです。

多くの企業は、候補者が転職サイトに登録したり、求人に応募したりしてから接点を持ちます。応募や選考として接点を持ってからは確かに早い方が良いです。しかし、その段階では、候補者はすでに複数の会社を比較しています。給与、勤務地、福利厚生、会社の知名度。こうした分かりやすい条件で比べられると、ベンチャー・中小企業はどうしても不利になりやすくなります。だからこそ、転職活動を始める前から接点を持っておくことが重要なのです。

必要なのは「助走は長く、選考は短く」です。長くするのは選考期間ではなく、選考が始まる前の関係づくりなのです。 最初に会った時点では、転職する気がなくても構いません。今の仕事で感じていることや、将来やってみたいことについて話す。会社の近況を伝える。数か月後、あるいは一年後に、また話す。そうした関係が続いていると、候補者が転職を考えたときに、いきなり現れた求人の一つではなく、以前から知っている会社として思い出してもらえます。実際にあるベンチャー企業では、大学生の頃に出会ってから実に7年近く断続的にコミュニケーションを取り続け、超大手出身の人材を採用していました。

長期的な関係が、条件以外の選択理由を生む

さらに言えば、候補者と長く関係をつくる意味は、単に自社のことを覚えてもらうためではありません。企業側も、候補者を理解できるようになります。どのような仕事に手応えを感じるのか。どのような環境では力を発揮しにくいのか。何を変えたくて、何は失いたくないのか。そこまで分かれば、「裁量があります」「成長できます」といった誰にでも当てはまる話ではなく、その人に合わせて自社で働く意味を伝えられます。

候補者にとっても、「給与が高いから」「有名な会社だから」だけではない選択理由が生まれます。この人たちなら信頼できる。この会社なら、自分がやりたいことに近づけそうだ。こうした信頼は、面接の最後に魅力を説明しただけでは生まれません。接点を持つたびに、少しずつ積み立てられていくものです。何度も話し、相手のことを知ろうとしてきた時間そのものが、入社を考える理由になります。

候補者が少ないからこそ、深く向き合える

候補者が集まらないこと自体は、もちろん歓迎すべき状況ではありません。ただ、接点を持てる候補者が少ないのであれば、その一人に使える時間は増やせます。一度会って終わりではなく、何度か話す。すぐに選考へ誘導するのではなく、まずはその人の仕事やキャリアについて聞く。「当社にはこんな魅力があります」と一方的に話すのではなく、「あなたが今後やりたいことと、当社の仕事はどこでつながりそうか」を一緒に考える。こうした関わりは、短期間で多くの候補者を処理する採用とは異なります。

大量に集められないからこそ、一人との関係を深める。候補者が少ないという制約を、そのまま不利として受け入れるのではなく、一人ひとりと向き合う時間に変えていくということです。

「集める採用」から「育てる採用」へ

ベンチャー・中小企業が、大手企業より多くの候補者を集めることは簡単ではありません。しかし、採用は候補者の数だけで決まるものでもありません。少ない接点を一度きりで終わらせず、何度も話し、相手を知り、自社のことも知ってもらう。転職を決めた後に口説き始めるのではなく、転職を考える前から関係をつくっておく。候補者が集まらないからこそ、一人に時間を使う。その積み重ねが、知名度や待遇だけではつくれない、ベンチャー・中小企業の採用力になります。

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