「採用活動を進めているものの、必要な人材を計画通りに採用できない」「応募は集まっているのに、選考途中の辞退や内定辞退が多い」──こうした課題は、採用施策を個別に改善するだけでは解決しにくいことがあります。
採用戦略とは、事業や組織の方針をもとに、どのような人材を、いつまでに、どのような方法で採用するかを設計することです。採用基準、採用チャネル、選考プロセス、候補者フォロー、採用KPIなどを一貫して設計することで、場当たり的な採用から抜け出しやすくなります。
本記事では、採用戦略の基本的な考え方から、採用計画、採用基準、選考設計、面接品質、候補者フォロー、振り返りまで、採用活動全体を設計する流れを解説します。
採用戦略の重要性について
- 組織は「目的」ではなく「手段」
経営学者アルフレッド・チャンドラーの「組織は戦略に従う」という考え方にあるように、組織は事業を実現する手段であり、事業への貢献によって組織の価値が生まれます。事業戦略の実行力としての「組織力」を高める必要があり、その基盤となる採用は極めて重要となってきます。
- 少子高齢化による人材獲得の難化
企業の組織は、組織構造・人事制度・人材の3要素から成り立っていますが、特に人材は限られた資源であり、他社との競争が最も激しい領域です。実際に、少子高齢化が加速し続けている中で、優秀な人材の確保が企業の成長を左右する重要な課題となっています。また、採用市場の競争は年々激化しており、人材を確保できなければ、事業の成長が停滞するだけでなく、企業の存続が危ぶまれます。
こうした環境の中で、将来にわたって企業を支える人材を見極め、既存の社員が長期的に活躍できるよう、 育成・評価・報酬などと連携し、戦略的に採用を進めることが大切です。
採用戦略を立てる3つのメリット
効果的な採用戦略を立てることは、採用を効率的に実施できるだけではなく、企業の成長に直結します。場当たり的な採用ではなく、明確な方針をもとに計画を立てることで、必要な人材を適切なタイミングで確保できるようになります。さらに、採用後の定着率やパフォーマンスの向上にもつながります。ここでは、採用戦略を立てることで得られる3つのメリットについて詳しく解説します。
採用コストを最適化できる
採用コストとは「採用活動全体を通して発生する費用」のことで、採用の計画から選考、入社に至るまでにかかる外部コスト(パンフレットやサイトの制作費・人材紹介会社への支払費用など外部へ払うコスト)と内部コスト(社内の人件費や内定者イベントの開催費用など内部で発生するコスト)の総額を指します。
採用戦略なしでは無駄なコストが発生しやすいため、限られた予算を最大限に活用するためにも戦略的な採用計画が必要不可欠です。例えば、採用ターゲットを明確にすることで、不要な広告費や人材紹介手数料を削減できたり、選考プロセスを見直して効率的な運用を行うことで、採用担当者の工数を削減し、内部コストの最適化にもつながります。
ミスマッチを防ぎ長期的な人材の定着
採用戦略を立てる際は、「人材ポートフォリオ」と「人材フロー」がポイントになります。「人材ポートフォリオ」とは組織が必要とする人材のレベルや構成のことで、現状と理想のギャップを把握し、施策を練っていきます。「人材フロー」とは組織内の人材の流れを管理し、採用・異動・退職までのプロセスを管理することです。
これらを組み合わせ、組織が求める人材像を明確にすることで、ターゲットに合った採用が可能になり、入社後のミスマッチや離職を防ぐことができます。さらに、「人材フロー」を意識することで、社員のキャリアパスが明確になり、エンゲージメント向上にもつながります。
経営戦略との整合性が図れる
「組織は戦略に従う」という言葉の通り、事業戦略が上手く遂行されるためには、その手段となる組織の実行力を高める必要があります。そこで重要になるのが「人事の一貫性」です。人事は一般的に「採用」「育成」「配置」「評価」「報酬」「代謝」の6機能に分けられます。人事に一貫性がないと各機能がそれぞれに最適化してしまい、全体としてのパフォーマンスが低下してしまいます。これを防ぐためには、人事施策が経営戦略と一致するように、担当者間でのローテーションや兼務、定期的な情報共有を行い、人事全体で一貫した採用戦略を策定し、実行することが求められます。
採用戦略STEP1:採用計画と体制を構築する
自社に適した優秀な人材を採用するためには、綿密な計画が欠かせません。採用計画をしっかり立てることで、必要な人材を適切なタイミングで確保し、採用の効率と成功率を高めることができます。また、採用後の定着や活躍を見据えた設計を行うことで、組織全体の成長にもつながります。
採用目標を作成する
まず、採用計画とは要因計画(一定期間において必要な人員を確保するための計画)を実現するための手段であり、「採用」によってどの程度の人員を確保するかを決めることです。要因計画を達成するための手段としては、「採用」のほかに「育成」「配置転換」「外部委託」がありますが、これらの手段では必要な人員を確保できない場合や採用による獲得が望ましい人材がいる場合に、採用計画を立てる必要があります。
そのため、人事担当者は経営戦略や現場のニーズ、人件費など多角的な視点を踏まえ、いつまでに、どの部署に、どのような役割の人を何人採用するのかを明確にすることが求められます。さらに、短期的な採用目標だけでなく、中長期的な視点を持ち、社内の人材フローを考慮しながら計画を立てることで、人材ポートフォリオの実現につながります。
採用基準を設定しペルソナ化
要員計画を立て、採用すべき人員が決まったら、人材ポートフォリオに基づいて「採用基準」を設定します。その際、目的に応じたアプローチが重要であり、アプローチ方法としては「演繹的アプローチ」と「帰納法的アプローチ」の2つが挙げられます。
「演繹的アプローチ」では、自社の事業や組織を分析し、業務を適切に遂行するために必要な能力・志向・性格を推定し、採用基準を設定していきます。一方で、「帰納法的アプローチ」では、現場で活躍している社員の特徴を分析し、共通する能力や性格を抽出して採用基準を設定していきます。
採用基準の詳細や具体的な設定方法については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
最適な採用チームを生成する
採用に注力するためには、最適な採用チームを構成することが重要です。その際、採用チームの構成を企業全体の「人材ポートフォリオ」の雛形にすることがポイントとなります。例えば、受容性の高い採用担当者ばかりで構成されたチームでは、受容性の高い人員を優先的に採用してしまい、組織のバランスが偏ってしまいます。その結果、事業成長の実現が難しくなる可能性も高くなります。そのため、採用チームは「人材ポートフォリオ」と同じように、多様な能力・志向・性格を持つメンバーで構成していくことが、採用成功への鍵となります。
採用予算とリソース配分計画
採用活動を効果的に進めるためには、限られた予算とリソースを最適な配分にすることが重要です。先ほどもお伝えしたように、採用コストには「外部コスト(求人広告費や人材紹介手数料など)」と「内部コスト(選考にかかる工数、内定者フォローのための費用など)」があり、これらを洗い出した上で、施策ごとに適切な予算を割り当てる必要があります。 また、採用活動は、人事部門だけでなく、現場社員や経営層の関与も不可欠であり、社内の工数を考慮し、負担を分散させることが求められます。そのためには、事前に選考や面接に関わる担当者の稼働時間を確保するよう依頼したり、採用基準を明確にし、フォロー対象者を決めておくことで人的リソースを効果的に活用したりすることも大切です。さらに、採用施策の費用対効果を内定寄与率などで測定し、優先順位をつけることで、より効果的な採用戦略を立てることができます。
採用戦略STEP2:計画に基づき選考を設計する
選考プロセスの設計は、採用の成功を左右する重要な要素です。明確な選考基準を設定し、候補者の能力や適性を的確に評価することで、企業とマッチする人材を見極めることができます。
ペルソナから採用チャネルの選定
候補者と接触するためには、候補者集団を形成する必要があります。この、候補者集団にリーチする手段を「採用プロモーション」と呼び、「PULL型プロモーション(オーディション型)」と「PUSH型プロモーション(スカウト型)」に分けられます。
「PULL型プロモーション」とは、採用広告や説明会などを通じ、幅広い候補者へ情報を伝える方法です。一度で多数の候補者へ接触できるメリットがありますが、自社のファンが中心となりやすく、企業の知名度やブランド力に依存しがちです。そのため、合格率が低く、非効率になりがちです。
一方で「PUSH型プロモーション」とは、特定のターゲットに絞って、企業側からアプローチをかける方法です。具体的には、ダイレクトリクルーティング(スカウト型のサービス)の利用やリファラル採用、人材紹介会社の活用が挙げられます。一人ひとりを見極めて接触するため、効率はあまりよくありませんが、合格率が高くなる傾向があります。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、求める人材の特徴や市場の状況を踏まえた上で、戦略的に手法を選択・実行していくことが求められます。
選考の各歩留り、ステップ、コンテンツを設計する
選考プロセスを設計する際は、「歩留まり」「ステップ」「コンテンツ」の3点を整理します。
歩留まりとは、各選考段階で候補者が次のステップへ進む割合のことです。応募、書類選考、適性検査、面接、内定、承諾までの数値を確認することで、どこで候補者が減っているのかを把握できます。
ステップとは、選考の回数や順番、期間のことです。選考回数が多すぎると候補者の離脱につながりやすく、少なすぎると見極めが不十分になることがあります。ターゲット人材の状況や採用難易度に合わせて、無理のない選考フローを設計します。
コンテンツとは、書類選考、適性検査、面接、ワークサンプルなど、候補者を見極めるために使う手段のことです。採用基準に照らして、どの選考段階で何を確認するのかを決めておきます。
詳しい歩留まりの見方や数値分析の進め方は、こちらの記事で扱っています。
採用課題ごとの改善策は、こちらの記事も参考にしてください。
フォローのためのコミュニケーション方針の設計
フォローのためのコミュニケーション方針を設計する際は、まずターゲットとなるペルソナがどんなことに魅力や不安を感じそうかを見立てます。その上で、企業の具体的な強みや特徴を整理し、それをどのように伝えるかを事前に準備しておくとよいでしょう。例えば、「成長機会」を訴求するのであれば、実際のキャリアアップ事例や研修制度の実績を示し、「安定性」を訴求する場合は、市場シェアなどのデータを活用するなどです。また、採用担当者間で事前に情報をすり合わせておくことで、一貫性のあるフォローが可能になります。
候補者に選ばれるための面接・内定フォローは、こちらの記事で解説しています。
【参考】採用課題別の選考プロセス設計方法
ここでは、採用課題ごとに選考プロセスをどう設計するかの考え方を4パターンに分けて紹介します。企業ごとに採用目標や候補者数、採用難易度は異なるため、実際には自社の状況に合わせて調整する必要がありますが、選考設計を見直す際の参考としてご覧ください。
①採用目標人数に対してエントリー数が多く、優秀層が見つけにくい企
<採用課題>
・優秀層を精度高く、早期に見つけてフォローする
・大勢の応募者へ効率的に対応する
<選考プロセスの設計方針>
・説明会は大規模会場で行うことで、回数を減らし、採用側の負担を下げる
・適性検査の合格基準を厳しめにし、後工程の選考負担を下げる
・面接などは早期から面接官・会場を確保し、特に優秀層が多い選考初期段階は一気に対応する(選考のリードタイムが伸びると優秀層から辞退することが多いため)
・選考過程で優秀層を発見した場合は、選考回数を減らすなどの飛び級的プロセスを用意し、選考のスピードアップを図る
②採用目標人数に対してエントリー数が少なく、候補者集団形成が難しい企業
<採用課題>
・エントリー者や受験者を増やす
・選考途中の辞退者を減らす
<選考プロセスの設計方針>
・説明会の階数を増やし、学生が参加しやすいようにする。また、説明会参加は必須とせずに、不参加の学生も選考へ進めるようにする
・エントリーシートなどの学生の負担を上げるものはなくすか、軽くする
・適性検査などの合格基準を緩くし、できるだけ多くの学生と会うようにする(社員と直接会うことが魅力づけになるため)
・早期受験者は早めに選考プロセスを開始するなど、五月雨式・同時並行的に複数の受験者の選考プロセスを進めるようにする
③採用目標人数に対してエントリー数が少なく、候補者集団形成が難しい企業②
<採用課題>
・できるだけ少ない人数・期間で採用を行いたい
<選考プロセスの設計方針>
・少ないエントリー者数でも受験者は多くなるように、軽めのエントリーシートや説明会参加は自由にし、選考参加のハードルを下げる
・架電などを行い、少ないエントリー者数でも受験率を高くする
・大学のキャリアセンターやOB訪問を行い、応募チャネルや接触をもつ
・通年採用にし候補者に応じて柔軟に選考を進めたり、大手や人気企業の採用ピーク直後から採用を開始する
④採用人数が少ないため、効率的に採用活動を行いたい企業
<採用課題>
・採用人数に対してエントリーが多いため、効率的に優秀層を絞り込みたい
・本気度の高い応募者のみに受験してほしい(あまり不合格を出したくない)
<選考プロセスの設計方針>
・説明会は採用HPや動画配信にするか、大規模会場で行い、採用側の負担を下げる
・本気度の高い応募者に受験してもらうために、重めのエントリーシートにしたり、説明会参加を必須にするなど、ハードルを高く設定する
・選考プロセスは、五月雨式に行うのではなく、1ステップごとに全員が受験を終わり次第、次ステップを案内する(五月雨式だと、初期と後半の応募者を比較できず、選考基準がブレる可能性があるため)
採用戦略STEP3:面接の質を向上させる
採用活動において、面接の質は応募者の評価精度や採用の成功率を大きく左右します。適切な質問ができていない、評価基準が曖昧などの課題があると、優秀な人材を見逃したり、ミスマッチが発生する原因にもなります。そのため、より精度の高い選考を実施するために、面接官のスキル向上や評価の一貫性を重視しなくてはなりません。
面接官トレーニングを行い見極め精度を高める
選考プロセスにおいて「面接選考」は候補者を見極める最も重要なコンテンツですが、採用の専門知識を持たない管理職や現場社員が面接を担当するケースは少なくありません。その結果、評価基準のばらつきや質問スキルの不足などにより、優秀な候補者を見逃したり、ミスマッチが生じたりするリスクがあります。これを防ぐためには、面接官トレーニングを実施し、評価の一貫性を保ちながら、見極め精度を高めることが重要です。具体的には、面接の目的や評価基準の理解、適切な質問方法、バイアスを排除した判断スキルの習得などが求められます。
弊社では、面接官のスキル向上を支援するトレーニングプログラムを提供しています。面接の「インタビュー・アセスメント・ジャッジ・フォロー」を体系的に学べる座学から、実際の面接に同席しフィードバックを行う実践型サービスまで、多彩なプログラムを用意しています。
採用戦略実行のポイント:優秀層から順番に採用するために
採用戦略を立てた後は、効果的に実行することが重要です。計画通りに進めるためには、選考プロセスの設計や面接官のトレーニング、候補者へのフォロー強化など、具体的な施策が求められます。特に、戦略と現場の実行がずれると、優秀な人材を獲得できない可能性が高まるため、ここでは、採用戦略を確実に実行し、成果につなげるためのポイントを解説します。
合格率を採用活動時期ごとに設定する
採用では、自社の採用基準や優秀さのマッチ度を基準に判断できればよいのですが、選考の時期によって候補者をリアルタイムに比較できない「時期ずれ」が生じ、適切な判断が難しくなることがあります。例えば、採用初期に応募した候補者はすでに選考を終えている一方で、中後期に応募した候補者はまだ選考中といった状況です。 この問題への対策として押さえておくべきポイントは「新卒・中途問わず、ほとんどの採用において、初期応募者のほうが優秀層であることが多く、内定率も高い」ということです。そのため、選考全体の合格率を40%に設定した場合、初期は60%、中期は40%、後期は20%といった具合で合格率を設定することで、より優秀な人材を確保し、ミスマッチを防ぐことが可能になります。
採用可能数を予測する
優秀な学生は複数の企業から内定を獲得しているため、内定を出しても辞退される確率が高くなります。そのため「内定数(内定を出した数)」と「採用可能数(入社を決めた数)」は分けて考えることが重要です。
採用可能数は、最終面接の1つ前の面接合格者数をベースに算出することで、より高い精度で予測が可能になります。採用可能数の式は下記の通りです。
(最終面接直前の合格者数 + その後の発生予測数)× 内定受諾割合の予測 = 採用可能数
この計算で算出された採用目標数に応じて、適切に調整・対応していくことが大切です。採用可能数が採用目標数に達していない場合は、内定出しの基準を緩和する、採用目標数を見直すとよいでしょう。一方で、採用目標数を超えている場合は内定出しの基準を厳格化し、より優秀な層を確実に確保できるようにする必要があります。このように、採用担当者はリアルタイムで採用可能数を把握することで、優秀な人材を確保することができます。
採用戦略実行のポイント:候補者を動機づけるための準備とは
採用活動は、優秀な候補者に内定を出して終わりではありません。その後のフォローアップが、最終的な入社につながるかどうかを左右します。そのため、人事担当者は「優秀層へのフォローに一番多く時間を割いている(内定者と親密な関係を築いている)」状態を作ることが大切です。ここでは、フォローの時間を確保するための選考プロセスの工夫やポイントをご紹介します。
適性検査の利用
選考の初期段階で適性検査を導入することで、合格率をコントロールしやすくなり、面接にかかるマンパワーを削減できます。適性検査は受験者の人数に応じてコストがかかりますが、面接よりも評価のばらつきが少なく、候補者の能力やパーソナリティを安定して見極めることができます。
アウトソーシングの活用
一次選考などの初期選考では、基本的な能力を評価しますが、基礎的なスキルが確認できれば、見るべきポイントはどの企業でも大きく変わりません。そのため、一般的な基準での評価であれば、採用のアウトソーシングを活用するのも有効な手法です。アウトソーシング会社は多様な企業の採用を担当しており、業界全体の人材市場についての理解が深いため、こうした視点が選考に役立つこともあります。
セルフスクリーニングの促進
PULL型プロモーションを活用した採用では、多くの候補者にアプローチができる一方で、応募が集まりすぎると、説明会や選考回数などが増え、採用活動が非効率になる可能性があります。これを防ぐために「自社が求めている人材だけを集める」ことに注力しなければなりません。仕事のリアルな実情を伝える「RJP(Realistic Job Preview)」を実施し、候補者自身が「この会社は自分には合わない」と判断できるようにすることが有効です。そのために、「どのような人に来てほしいのか」を明確にし、それに基づいた採用広告やキャッチコピーを作成するとよいでしょう。
現場や管理職への協力依頼
効果的・効率的に採用を進めるためには、採用担当者だけでなく、管理職や現場社員にもフォローや面接に協力してもらうことが重要です。 フォローでは、現場の生の情報を伝えることで、候補者の納得感を高め、入社意向の向上にもつながります。
面接では、担当者の数を絞り、役割を明確にすることがポイントです。確率論の大数の法則というものがあります。6回だけサイコロを振っても1から6の数字が等分に出るかは分かりませんが、1万回サイコロを振れば大体6分の1ずつ出ます。これが、採用の場合も当てはまると思っています。
1人の面接官が4人ずつ見る場合ですと、その4人が全員自社には合わないというケースもあり、逆に全員良いというケースもあります。ところがほとんどの人間は人間を相対的にしか評価できません。もしも「半分くらい合格にしてください」と面接担当者にガイダンスをしている場合、面接を行った4人のうち、本当は全員不合格にしたいところだが半分の2人を合格にする、逆に、4人ともすごく自社にとって良い人なので全員合格にしたいのに半分落としてしまう。こういう事が頻発する可能性が出てきてしまいます。また、面接官に対して「すべての基準を理解し、総合的に評価してください」と依頼するのではなく、面接に慣れていない現場社員でも判断しやすいよう、見るべきポイントを絞ることも効果的です。例えば、「初回面接では、話が論理的に伝わるかどうかを見てほしい」といった具体的な指示をすると、面接の質が安定しやすくなります。
採用戦略を磨くための振り返り方法
採用戦略は、一度設計して終わりではありません。採用活動を進める中で、候補者集団の形成、選考通過率、内定承諾率、辞退率などを確認し、どの段階で想定とのズレが起きているのかを振り返ります。
振り返りで特に見ておきたいのが、「ファン採用」になっていないかという点です。ファン採用とは、選考当初から自社への志望度が高い候補者に偏った採用のことを指します。志望度が高いこと自体は悪くありませんが、志望度がまだ高くない候補者の中にも、優秀な人材が含まれている可能性があります。そのファン採用を防ぐためには「内定辞退率」と「リアル接触率」に注目して振り返ります。
「内定辞退率」は一般的に半分以上(約6割)といわれています。そのため、内定辞退率がこれより低い場合、ファン採用に偏っている可能性があるので、辞退者がどの企業に流れたのか、競合はどこかを分析するとよいでしょう。
「リアル接触率」とはナビ媒体で登録した学生のうち、実際にリアル接触(説明会や適性検査、面接等に参加した)割合のことで、平均は3割程度とされています。そのため、3割を下回る場合は、プレエントリー者との接触が不十分で、学生側に何らかのハードルが生じている可能性があります。選考プロセスを再度見直し、負荷のかかる選考方法になっている場合は、選考ツールや方法を見直すとよいでしょう。
こうした数値をもとに、候補者集団の質、選考途中の離脱、内定承諾までのプロセスを見直し、次回の採用計画や選考プロセス、候補者フォローに反映します。採用データを使った詳しい分析方法は、こちらの記事で解説しています。
採用戦略設計なら人材研究所の採用コンサルティング
弊社では、採用課題や採用目標など貴社の採用状況に合わせて、オリジナルの採用戦略の構築を行っております。採用活動の経験やノウハウがなく段取りが分からない、大量採用なので選考、面接等のリソースが不足している、思い切って採用の態勢を刷新したいなど、お困りごとがございましたら、ぜひご相談ください。経験のあるスタッフが貴社の一員として、共に考えながら、最適な採用スキームを構築します。ご興味をお持ちいただけましたら、下記リンクにお進みいただけますと幸いです。
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