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公開:2025.12.22 最終更新:2025.12.23

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採用KPIとは|再現性のある採用へ。設計方法と具体例を解説

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採用活動は「やってみなければ分からない」「年度ごとに状況が違う」といった不確実性を抱えがちです。しかし、採用を“運任せ”にしていては、結果が安定せず改善の余地も見えにくくなります。

そこで鍵を握るのが、採用プロセスを数値化しプロセス全体を管理するための「採用KPI」です。本記事では、採用KPIをどのように設定し、運用することで、再現性と改善性を備えた採用活動を実現できるのかを解説します。

採用KPIとは?

KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、「重要業績評価指標」と言い、組織や個人の目標達成度を定量的に測るための”中間”指標です。簡単に言えば、目標に向かって「うまく進んでいるか」を数字でチェックするための目印のこと、と言えます。

マラソンで例えれば、「3時間以内にゴールする」という最終目標に向かうために「10kmごとのタイム」「5kmごとの歩数」などが考えられます。

では、採用におけるKPIはどのようなものがあげられるでしょうか?

一般的に使われるのは、以下のような項目があげられます。

・内定承諾率
・内定数
・応募数

10名の採用を目標とした場合に、内定承諾率を50%とKPIを設定することで、「20名の内定を出す必要がある」 という具体的な行動目標に落とし込むことができます。さらに、20名の内定を出すためには「1次面接合格数」「1次面接の参加数」など、より前段階のKPIを設定することで、母集団形成から内定承諾までの一連のプロセスを数値で管理し、どの段階に課題があるのかを明確にできます。

KPIとKGIの違い

KPIとよく間違われやすい用語の一つに、KGI(Key Goal Indicator)という用語があります。KGIは「重要目標達成指標」といい、最終的なゴール(目標)の達成度を示す指標となります。

同様にマラソンで例えるなら、「完走する」「3時間以内にゴールする」などがKGIとなります。採用で言えば、「10名採用する」といった採用目標がKGIとなります。

KPIとの違いをまとめると下記の表のとおりです。

用語英語表記日本語表記意味採用における例
KPIKey
Performance
Indicator
重要業績
評価指標
ゴールに向かう
途中の成果を示す指標
内定数や応募数など
各プロセスの数字
KGIKey
Goal
Indicator
重要目標
達成指標
最終的な
ゴールを示す指標
採用目標数

採用KPIを設定する目的・メリット

採用を成功させるうえで、KPI(重要業績評価指標)を設定することは不可欠です。ここでは、採用KPIを導入することで得られる主なメリットを解説します。

現状の採用進捗を可視化できる

採用KPIを設定する際は、「内定承諾率 → 内定数 → 面接通過率 → 面接実施数 → 面接実施率→応募数」といったように、最終目標(例:採用人数)から逆算して各段階の指標を数値化します。この過程により、採用プロセス全体が見える化され、感覚や印象ではなく、事実に基づいた分析と改善が可能になります

【具体例あり】ボトルネックを早期発見&改善ができる

採用KPIを設定をすることで、その時点での進捗が良いのか、悪いのかを判断しやすくなります。

具体例1:応募数は計画通りだが、書類選考通過率が目標とするKPIを下回っている場合

求人票の内容と求める人材像が一致していない可能性があるため、要件の見直しや媒体選定の再考が必要です。また、エージェント経由の場合は、候補者の目線がすり合っていない可能性が高いため、改めてコミュニケーションを取ることを推奨します。

具体例2:書類選考の通過数は計画以上だが、1次面接数が目標とするKPIを下回っている場合

「面接官の評価基準がバラついている」「面接自体が候補者体験を損ねている」などの課題が考えられます。1次面接数が目標とするKPIを下回っている原因が、
・1次面接での不合格が多いことに起因する場合、1人の候補者について、面接官同士で評価基準をすり合わせるディスカッションの場を設ける
・1次面接後の辞退が多いことに起因する場合、「面接官の立ち居振る舞いや候補者に魅力に感じてもらうコミュニケーションへの改善トレーニングを実施する」
などの打ち手が考えられます。

具体例3:内定は出ているが内定承諾率が目標とするKPIを下回っている場合

企業の魅力度が他社に対して相対的に劣っている、選考期間が長く競合に先手を取られている、などの問題が示唆されます。ここでは現場社員との座談会や採用担当者からの働きかけによって自社の魅力訴求や不安解消の強化、選考スピードの改善が鍵となります。

このように、採用KPIがあれば、採用プロセスを“点”ではなく“線”で捉えられるようになり、課題箇所へのアプローチが具体化します。さらに、改善施策後の数字変化をモニタリングすることで、打ち手の有効性検証まで一貫して行えるため、「やりっぱなし」にならずに次の戦略に活かすことができます。

安定した成果を出すことができる

採用市場(特に新卒採用)は、毎年環境が変化しやすく、そのほとんどが新たな候補者で構成されます。前年の採用活動では上手くいっていた施策も今年は振るわなかった、なんてことを複数年採用活動を経験したことのある採用担当であれば味わったことがあると思います。

しかし、採用KPIを設定し採用活動期間中にモニタリングを怠らず、ボトルネックの早期発見・改善に努めていれば、年度ごとに変化する市場においても前年の採用活動に頼ることなく、安定した成果を出すことができるでしょう。

チーム内の情報共有と連携が可能になる

採用KPIを設定することで、チーム全体で「何を達成すべきか」「どこまで乖離しているか」を共通の基準で把握することができます。「応募数が不足している」「面接通過率が低い」といった課題を感覚ではなく客観的に共有でき、担当者ごとの認識のズレを少なくすることが可能です。

また、KPIに沿って進捗を定期的に確認する運用を続けることで、採用担当・現場面接官・経営層が一体となった改善サイクルを回せるようになります。

KPIを設定する手順

採用活動においてKPI(重要業績評価指標)を設定することは、採用フロー全体を可視化し、改善の手がかりを得るための基盤となります。ここでは、効果的なKPI設計に向けた3つのステップを解説します。

手順1:KGIを設定する

まず最初に、採用活動全体の最終目標であるKGI(重要目標達成指標)を明確にすることが重要です。たとえば「年度内に〇〇職種の人材を10名採用する」のように、最終的に達成すべきゴールを定めることで、全体の指標設計がぶれなくなります。

KGIを設定する際には、「SMART」の法則を意識することがポイントです。「SMART」とは、下記5つの頭文字で、このフレームに沿ってKGIを設定することで、採用活動の方向性が明確になり、組織全体が同じゴールを共有しやすくなります。

Specific
(具体的)
目標が具体的で明確であること。
誰が、何を、どのように達成するのかを具体的にします。
Measurable
(測定可能)
目標の達成度を測定できること。
数値や指標で客観的に評価できるようにします。
Achievable
(達成可能)
目標が現実的で、達成できる範囲内であること。
高すぎず、低すぎない、実現可能な目標を設定します。
Relevant
(関連性)
目標が自分の目標や組織の目標と関連していること。
大きな目標やビジョンと整合性が取れていることが重要です。
Time-bound
(期限がある)
目標達成のための期限が明確に設定されていること。
いつまでに達成するかを決めます。

手順2:現状の採用プロセスを分析し、課題を特定する

採用KPIは、採用ゴールに直結する成果を捉える指標です。そのため、ゴールへの影響度が低い歩留まりや細かなプロセスを採用KPIに設定し、そればかりを追ってしまうと、誤差に振り回され、採用成功の本質から逸れてしまうリスクがあります。

たとえば、同じ1次面接実施数で、同じ5名採用できた年度でも、
・1次面接合格率が低い年度
・1次面接合格率が高い年度
があるかもしれません。

これは、「採用プロセスの前半で厳選するか、後半で厳選するかの違い」だけの可能性があります。この場合、1次面接合格率に一喜一憂しても改善ポイントは見えてきません。むしろ、確実に採用人数を確保するためには、5名採用に十分な候補者数を確保できているか、が重要になります。

このように、課題を特定する際は、本質的に自社の採用プロセスのどこに課題があり、何を変えていくべきなのか、何を変えないべきかを明らかにしておく必要があります。そのためには、現状の採用プロセスを集計してミクロな視点での歩留まりを確認するだけでなく、内定数÷母集団のような、マクロな視点での数字も洗い出しながら、様々な角度で分析し、課題を特定するプロセスが必要不可欠です。

分析は、可能であれば過去数年分のデータと比較することをおすすめします。これまでの採用実績を振り返り、プロセスごとの歩留まりを数値で把握します。こうした過去のデータと比較しながら、どのプロセスが自社の課題かを特定します。

上手くいった年、苦戦した年、などと比較しながら今年度のプロセスはどうだったか、を分析することで、自社の課題が見えやすくなります。もし、過去のデータが少ない場合や全くない場合は、参考として、採用歩留まりの一般的な数字を目安として記載しておきますので、集計した自社の実績と比較しながら課題のあたりをつけてみてください。

内定率
(内定者数÷受験者数)
・採用広告メディアや大規模イベントなどマス広報による候補者集団の場合 → 1~数%
・リクルーター・OB紹介などネットワークを用いた候補者集団の場合 → 約10%前後
受験率
(初回選考受験数
÷エントリー数)
・通常の場合 → 20~30%
・人気企業の場合 → 40%程度
書類通過率・一般的な選考の場合 → 80%程度(下位2割を落とす)
・厳しめな選考の場合 → 20%程度(上位2割を通す)
面接通過率・通常面接の場合 → 30~40%程度
・グループ面接の場合 → 50%程度
途中辞退率*の目安
(途中辞退者数
÷初回選考受験者数)
・一般的な企業の場合 → 20~30%
・架電対応など積極的な企業の場合 → 10%程度
内定辞退率の目安
(内定辞退者数
÷内定出し数)
・志望度に厳しい企業の場合 → 10%程度
・志望度にそこまで厳しくない企業の場合 → 50%程度
*途中辞退・・・選考前辞退と内定辞退を除く

手順3:課題に対して運用による対策か、仕組みによる対策かを分類し、仕組みによる対策を検討する

課題が特定できたら、その原因を整理し対策を検討します。しかし原因は、データだけでは“推測の域”を出ないことも多くあります。たとえば辞退率が高い原因が、選考リードタイムの長さなのか、魅力訴求不足なのか、次回面接の心理的ハードルの高さなのかは、100%断定できないケースもあります。そこで重要なのが、考えられる原因を列挙したうえで、対策を「運用による対策」と「仕組みによる対策」に切り分けることです。

運用による対策とは

採用期間中の担当者の行動や運用の変更によって改善を目指すアプローチを指します。

例えば、
・母集団の不足という課題に対して、スカウト通数を増やす
・辞退率増加という課題に対して、自社の魅力の訴求内容やコミュニケーション方法を改善する
などの対策は、担当者の動き方を変えることで即時に改善できる施策です。

仕組みによる対策とは

選考フローや採用設計など、採用期間中に変えることが難しい、構造を変えることなどで改善を目指すアプローチを指します。

例えば、
・母集団の不足という課題に対して、入社後の育成制度を整え、ターゲットの幅を広げる
・辞退率増加という課題に対して、面接調整ツールの導入、書類提出工程の見直しなどで候補者の負担を軽減する
などの対策は、仕組み自体にメスを入れる施策です。

なぜ切り分けて考えるべきか

採用活動では、計画と実績の差分を常にモニタリングし、改善を積み重ねることが求められます。選考歩留まりや辞退率を見ながら、「どこに打ち手を入れるべきか」を判断し、迅速にPDCAを回していくこと、つまり運用改善が採用成功の中核です。

ただし、どれだけ運用で頑張っても改善しない領域があるのも事実です。

例えば、
・選考フローが候補者の負担になっている
・魅力訴求の設計が弱い
・母集団形成チャネルが不足している
といった課題は、仕組みそのものに原因があるもので、担当者の努力だけでは効果が出にくい領域です。このような領域に、限られたリソースを注ぎ、徒労に終わらせないために、「運用による対策」と「仕組みによる対策」をあらかじめ切り分けておく必要があります。

どの企業でも、採用担当者のリソースは限られています。改善策の打ち手を誤ると、「努力しているのに報われない」という状態に陥りかねません。先に切り分けができていれば、「頑張りが成果につながりやすい領域にリソースを集中させること」ができます。

手順4:選考チャネルごとに採用目標人数と選考フローを整理し、歩留まりを設定する

仕組みによる対策を検討し打ち手が決まれば、各選考チャネル(例:求人媒体、エージェント、リファラルなど)ごとの目標人数を割り出し、それぞれにおける選考フローと必要なプロセスを洗い出します。例えば、求人媒体の場合、初回面談や初回面接までの接続が芳しくないことがありますが、エージェントでは初回接触まではエージェントが密に連絡を取ってくれるため、初回までの接触率は高い傾向にあります。リファラルであれば、そもそも非紹介者の情報を紹介者から聞いていたりするため、フローが短いこともあります。流入経路によってフローが異なれば、その歩留まりもそれぞれに特徴があるため、どのチャネルにどれだけ工数やコストをかけるべきか、戦略的に判断する土台を整えましょう。

手順5:運用による対策によって”動く数字”を採用KPIとして設定する

最後に、手順3で切り分けた運用による対策によって”動く数字”を採用KPIとして設定します。ここでいう”動く数字”というのは、「担当者の行動量によって増加が見込める因果関係が明確な指標」を指します。

例えば、辞退率の改善を狙って候補者への魅力訴求やコミュニケーションを工夫したとしても、辞退の背景には、
・候補者の志望度の低さ
・給与面や立地などの条件面での比較
・他社の動き
など、担当者がコントロールしきれない要因が大きく影響します。このような指標は行動を増やしても確実に動くとは限らない数字であり、KPIにはあまり適しません。辞退率の改善は、辞退率が高い原因によりますが、選考フローを見直す、候補者の負担を軽減する、自社の魅力を棚卸ししてトークスクリプトを作成するなど「仕組みによる対策」の領域であることが多いです。ただ、後でまた触れますが、KPIに適さないからと言って採用活動中にモニタリングしたり、原因や対策を検討したりしなくてよい数字ではないことは、十分注意しておきましょう。

一方で、初回接触数などは、スカウト送信数を増やす、未応募者へ架電・再案内する、説明会や面談日程数を増やすなど、行動すれば確実に増やすことができます。このように採用KPIは、「努力・行動量が成果に直接伝播する数字=動く数字」を設定します。そうすることで、PDCAを迅速に回しやすくなります。

またその際には、採用KPIがあまりに多すぎると焦点がぼやけ、何を追えばいいかがわからなくなったり、どの改善効果がどこに現れているのかが見えにくくなったりしますので、なるべく少なくするのがポイントです。

採用KPIによく設定される指標例

初回面接接触数

初回面接接触数は、非常に重要な指標です。候補者は入社までに大きな意思決定を2回します。1回は、言わずもがな「内定を承諾するか否か」ですが、もう1回というのは当該企業の「選考を受けるかどうか」です。選考に乗れば、2次面接3次面接と複数回面接で時間を取られますし、「お祈りメール」は志望度の低い企業からであっても精神的に辛いものがあります。合格しても、落選しても、選考に進むだけで物理的・心理的負荷がかかるものです。それでも「選考を希望する」という人の数が、初回面接接触数となります。この「選考を希望したい」と思っている人を増やすことが、目標採用数の達成に重要なファクターであるケースが多いです。

先に解説した通り、架電やスカウト送信数の増加などによって初回面接数は増加させやすい数字です。

応募から内定までのリードタイム

リードタイムも時として重要なファクターとなります。近年では、新卒・中途採用問わず応募から約1か月以内で企業側の最終結論(内定)が出ている状態でないと、辞退率が高くなる傾向にあります。中途採用の場合は、面接数が少ないことも多く、よりスピーディーな選考が求められつつあります。そもそも選考フローが多い場合、物理的に1か月以内が難しいケースも考えられますが、その場合は仕組みによる対策を検討し、フローの簡略化を目指します。そのうえで、採用KPIとして設定し運用による改善を目指す場合、”日程調整”や”合格通知”のスピード改善があげられます。日程調整が2〜3日かかっていないか、合格通知に1週間かかっていないか、などは採用担当者の努力次第で変えられるケースが多いです。行動の変化によって明確に数字が変動する指標と言えます。

スカウト承諾率(返信率)

初回面接数を計画通りに進めるうえで、その手前の歩留まりであるスカウトの承諾率を採用KPIに設定することもあります。承諾率は候補者の意思もはさむため、一見動かしにくい数字に見えます。確かにその側面はあるものの、スカウト文面をテンプレートではなくプロフィールに合わせて一人ひとり作り上げる、曜日や時間帯によって承諾してもらいやすいタイミングはないかPDCAを回す、開封してもらいやすいタイトルを検討し変更する、長めの文章にする、ラフな声掛けの文章にするなど、運用を変更しやすい打ち手が多く考えられます。

採用KPIの設定における注意点

採用KPI設定の手順でも少し触れましたが、改めて採用KPIを設定する際の注意点を解説します。

運用による対策か、仕組みによる対策かは企業によって異なる

課題を特定し対策を検討する際には、採用期間中にやるべきこと(運用による対策)と、採用期間中に変更が難しいこと(仕組みによる対策)に分けます。上記同様、限られたリソースで最大限の効果を生むために、仕組みによる対策は事前に検討し対策を打っておくことが重要です。ただし、どこまでが運用による対策か、どこまでが仕組みによる対策かは、企業によって異なります。

例えば、現場面接官の合格率や辞退率などに対して、現場面接官に採用基準のすり合わせや、面接内での立ち居振る舞いを変更してもらうなどは、採用担当者の動きを変えることで即時に改善できるものでないケースが多いので、一般的には仕組みによる対策に含まれます。しかし、現場と採用チームが密にコミュニケーションをとることが可能であったり、現場が採用に協力的であったりなどする場合は、運用による対策として設定できるケースもあります。プロセス自体の変更も、採用期間中の変更を柔軟に受け入れ、大幅なオペレーションの変更もいとわずスムーズな移行が可能であるなら運用による対策と言えます。

このように、採用チームの規模や採用にかかわる方々の柔軟性などによって、どこまでが運用による対策で、どこまでが仕組みによる対策として位置づけられるかは異なります。採用活動中に変更しても対応や移行がしやすいかどうか、が運用による対策、と覚えておくと良いでしょう。

高すぎる目標は形骸化する。現実的な数値を設定する

採用プロセスを確定し、採用KPIを設定するうえで必ず考慮すべきことが、その具体的な数値目標の妥当性を確認するプロセスです。特に、設定するKPIは「達成可能な現実的なレベル」である必要があります。KPIは単なる“管理数値”ではなく、組織の行動を方向づけ、現場を動かすための「指標」です。

この指標が現場の感覚よりも高すぎる数値で設定されていると、「頑張っても無理な目標」「達成しなくても当たり前」という雰囲気が組織に蔓延し、達成する責任感やモチベーションの低下、と逆効果に働くことが往々にしてあります。

採用チーム全員で共有し合意形成をする

KPIは単なる数値目標ではありません。それは、組織が目指すべき方向性を可視化し、日々の行動をつなぎ合わせるための「共通言語」です。したがって、採用チームのマネージャーだけが把握していれば良いというものではなく、採用活動に関わるメンバー全員が知っておく必要があります。

採用KPIに定めた数字以外は見なくていいわけではない

採用KPIは少ない方がよい、と解説しましたが、KPIだけを見ていれば良いわけではありません。採用を成功に導くためには、採用KPI以外の数値も含めて、異常値が出ていないかを確認する必要があります。異常が見つかれば、即座に原因分析と対策を講じましょう。

設定した採用KPIを運用していく際のポイント

KPIを設定した後、それを実際の採用活動で機能させるためには、適切な運用と振り返りが欠かせません。ここでは、採用KPIを効果的に活用するための4つのポイントを解説します。

リアルタイムで進捗を確認するように管理表を整備する

KPIは設定しただけでは意味を成しません。適切な管理表(例:スプレッドシート、ダッシュボードツール)を用いて、応募数や書類通過率などの数字をリアルタイムで確認できるようにしましょう。これにより、上手くいってない予兆を見逃さず、必要な打ち手を早期に講じることができます。

設定して終わりではなく振り返りの時間を確保する

KPIは「設定して終わり」ではなく、定期的な振り返りがあってこそ意味を持ちます。週次・月次で採用チーム内にレビューの時間を設定し、「なぜこの数字になっているのか」「改善するには何ができるか」を議論することで、改善サイクルを着実に回すことが可能になります。


想定外のことが起こった際にKPIを修正する柔軟性を持つ

採用市場や企業状況は常に変化しています。例えば、急な競合参入や社内の採用計画変更により、想定していた通りに数字が進まないこともあります。そうした際には、KPIそのものを見直しても全く問題ございません。KPIはあくまで手段であり、目的ではないという視点を忘れないようにしましょう。

数字だけ追いかけない。質的、定性的な観点も大事にする

KPIは定量的な管理に非常に便利ですが、候補者体験や面接官のコミュニケーション品質といった「質的・定性的」な要素も採用成功の鍵を握ります。たとえ数字が目標に届いていても、内定辞退が多かったり、採用後に定着しないようでは意味がありません。定量・定性の両面で採用活動を評価する視点を持ちましょう。

まとめ

採用KPIは、設定するだけでは十分な効果を発揮しません。進捗をモニタリングし、柔軟に施策や目標数値を軌道修正していく「運用」こそが、採用成功の鍵となります。
とはいえ、多くの採用担当者様は他業務との兼務などでご多忙を極めており、分析や改善まで手が回らないのが実情かと存じます。そのような際は、ぜひ弊社の採用コンサルティング、または採用代行の活用をご検討ください。

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