「面接で何を聞けばいいのか分からない」「適切に評価できているか不安」―そのような悩みを抱える採用担当者の方も多いのではないでしょうか。面接の目的は、ただ質問を投げかけることではなく、深掘りを通じて候補者の資質や能力を見極め、ミスマッチを防ぐことにあります。本記事では、面接前の事前準備を中心に、テーマ別の質問例や面接官が陥りやすいバイアス、避けるべきNG質問について解説します。
面接の役割
面接とは、企業が質問を通じて、候補者が自社の求める人材に適しているかを確認し、同時に入社の魅力を伝える場です。面接は、以下の4つのステップに分かれます。
- インタビュー
- アセスメント
- ジャッジ
- フォロー
インタビューは情報収集、アセスメントは集めた情報から「どのような人なのか」を見立て、ジャッジは、採用基準と照らし合わせて採否を判断、フォローでは候補者の入社意欲を高めるための情報提供を行います。
面接の目的
面接は、企業にとって自社の求める人材に合致しているかどうかを確認し、候補者にとっては自身が満足して働ける組織かどうかを確かめ、入社後のミスマッチを減らすことを目的としています。特に面接では対話が中心となるため、書類選考だけでは把握できない候補者の資質や能力を確認する機会となります。また、候補者から評価される場であるため、面接官は候補者の会社理解を促し、自社の魅力を訴求することが求められます。
オンラインとオフラインの違いと注意点
オンライン面接は、交通費や移動時間が不要で気軽に実施できるため、候補者の参加ハードルが下がり、応募者数の増加が期待できます。しかし、通信環境が整っていない場合、スムーズなコミュニケーションが難しくなるほか、非言語的なコミュニケーション(表情、視線、身振り)が伝わりにくいため、オフライン面接と比較すると応募者の動機付けが難しいとされています。そのため、オンライン面接を実施する際には、通信環境を整えることや、照明を明るくして顔をしっかり映し表情を分かりやすくする工夫が必要です。また、笑顔や相槌などの反応を通常より大きめにすることで、対話の印象を向上させることができます。さらに、選考の初期フェーズはオンライン面接を活用し、最終面接や応募者の動機形成が重要な場面ではオフライン形式を採用するなど、選考フェーズごとに形式を使い分けるのも効果的です。
新卒採用と中途採用の違い
新卒採用と中途採用面接の大きな違いは、中途採用の候補者がすでに一定の「成果」を持ち、それを判断材料とできるのに対し、新卒採用の候補者は社会経験がないため、「成果」ではなく潜在的な「ポテンシャル」が判断材料となる点です。そのため、新卒採用では候補者の過去のエピソードを深掘りしながら、思考、行動パターン、それに付随する「性格・能力・志向・価値観」等を照らし合わせ、複眼的に評価することが求められます。
採用面接の質問で人材を見抜くコツ
採用面接で質問を設計する前に、まず自社の採用基準を明確にすることが重要です。採用基準が定まったら、それを適切に評価できるように採用プロセスを設計し、その上で各面接における質問を具体的に組み立てていきます。
採用面接で質問を用意する前に採用基準とプロセスを設計する
どのような質問を用意すべきかを考える前に、まず採用基準と採用プロセスの設計が必要です。採用基準が曖昧なまま面接を行うと、面接官の主観や印象に左右され、評価に一貫性が欠ける恐れがあります。また、採用プロセスが明確でない場合、場当たり的な質問が繰り返され、必要な情報が十分に収集できないだけでなく、候補者に悪い印象を与える可能性もあります。
採用基準を設計するステップ
採用基準を決める前にまずは「人材要件」との違いを理解することが重要です。人材要件は、その職務で必要なすべての能力を網羅したものであり、採用基準は「入社時に最低限必要な能力」のみに絞るべきです。多くの企業では「人材要件=採用基準」となりがちですが、求める条件が増えるほど該当する人材は少なくなり、採用が難しくなります。そのため、育成可能なスキルは採用基準に含めず、自社で育成できない力に絞ることがポイントです。そしてこの人材要件を設計するには、大きく分けて「帰納的方法」「演繹的方法」の2つに分けられます。
- 帰納的方法:現在活躍している社員の行動や思考・性格を分析し、人材要件を導き出す方法。実績に基づいているため説得力があるが、将来の環境変化に対応できない可能性がある。
- 演繹的方法:事業の将来像や学術的理論を基に、理想的な人物像を定義する方法。新職種の設計時や長期的視点では有効だが、推論の要素を含むため確実性には欠ける。
理想的なアプローチは、帰納的方法と演繹的方法を組み合わせてバランスよく人材要件を設計することです。人材要件が出来上がったら、自社で育成できない要素に絞り、採用基準を策定していきましょう。
採用プロセスを設計する
採用基準が決まったら、採用プロセスを設計します。一度の短い面接の中ですべてを確認することは不可能です。初期、中期、最終と段階に分けて見るべきポイントを絞り込みましょう。
- 初期選考:候補者集団が玉石混交のため基礎能力によるスクリーニング
- 中期選考:パーソナリティによるスクリーニング
- 最終選考:優先順位付けのスクリーニング
とするのが一般的です。また、採用要件によっては面接で測れないものもあるでしょう。ワークサンプル、適性検査、認知的能力テストなどの導入も検討しましょう。
採用面接の質問設計と深堀りのポイント
採用基準やプロセスの設計が完了したら、採用面接の質問を設計します。選考ごとに評価したい項目を評価できるような質問を用意することが理想的です。(採用面接におけるシーン別質問集にて解説)さらに自社にマッチした人材を見抜くためには、候補者の「抽象的な主観」ではなく「事実(過去のエピソード)」を引き出すことが重要です。単に質問を用意するだけでは不十分で、候補者が具体的なエピソードを語れるよう促し、その内容を深掘りすることが必要です。そうしなければ、候補者の思考、行動パターンは見えません。例えば、「これまでの一番の困難とそれを乗り越えたエピソードについて教えて下さい」と伝えた場合、多くの候補者が「生じた問題」「取った対策」「得られた結果」の3点のみを述べることがあります。しかし、このような回答では候補者の持つ思考、行動パターンが見えにくいため、さらなる深掘りが必要です。具体的には、以下①~③の観点を併せて質問すると良いでしょう。
①環境:どのような環境(役割、程度、動機)でのその問題が生じたのか
(生じた問題)
②思考:その状況で候補者がどのように考え、判断したのか
(取った対策)
③苦労:問題解決の過程で直面した困難に対してどのような工夫をしたか
(得られた結果)
①についてもう少し詳しく解説します。
<役割>
そのエピソードの舞台環境がどのようなもので、そのなかで候補者がどのような役割を担っていたかの情報を収集します。具体的には、「どのような人と一緒にやったか」「どういう風土、文化の組織だったか」「指揮命令系統(先輩や同期、あるいは上司や同僚との関係性)はどうか」「業務分担や目標はどうなっていたか」「追い風が吹いていたか、向かい風だったか」
<程度>
その人がやったことのレベル感、言い換えれば難易度や希少性の情報をおさえます。程度をおさえる上での基本は、できるだけ数字に落とし込むことです。「どれぐらいの期間」「何人ぐらい関わってきたか」「どの程度希少性のあることをやったか」
<動機>
そのエピソードにおける候補者の「モチベーション・リソース(やる気の源泉)」を探ります。高い成果を上げるには、そのベースとなるエネルギーが必要です。そのエネルギーが何から生まれているかを知ることで、自社の仕事においても同様に成果を上げるために頑張ってもらえるかを判断できるのです。
人となりがわかりやすいエピソードを収集する
どんな人でも過去にたくさんのエピソードを抱えています。面接において候補者は過去に自分が一番おもしろいと思ったものを選択して話をします。しかし面接する側は、必ずしも候補者が選択したエピソードを聞きたいわけではありません。自社の採用要件と照らし合わせながら、その要件を判断できるエピソードを引き出す工夫をしましょう。以下に候補者の人となりがわかりやすいエピソードについて解説します。
・ 一人よりも「集団で取り組んだエピソード」を聞く
理由:仕事は多くの場合チームで行うため、個人で完結する経験(例:資格試験の勉強、楽器の独学)よりも、「集団で協力しながら課題に取り組んだ経験」の方が、実務に活かしやすい。
・「成功体験」よりも「ピンチを乗り越えた経験」を聞く
理由:成功事例は単なる偶然の可能性もあるが、逆境をどう乗り越えたかを聞くことで、課題解決能力や思考プロセスが分かる。
・「好きなこと」よりも「好きではないことに取り組んだ経験」を聞く
理由:仕事には「好きなこと」だけでなく、「苦手なことや面倒なこと」も含まれる。好きではないことでも、自分なりに意味を見出して取り組んだ経験があるかどうかが重要。
・「短期間の出来事」よりも「長期間にわたる経験」を聞く
理由:短期間の成功は一時的な要因による可能性があるため、長期間にわたる継続的な努力や成長のプロセスを確認することで、再現性のある能力を見極められる。
候補者を口説くための情報収集も忘れずに
採用面接では、企業が候補者を選ぶだけでなく、候補者にも企業を選んでもらう必要があります。そのため、候補者を「フォロー(口説く)」ことが成功の鍵となります。フォローで重要なのは、本人の主観(心理的事実)です。面接の際には、事実を聞くことを基本とし、候補者の主観を評価の重きに置かないのが原則ですが、フォローではこれが逆転します。候補者がどの情報から何を感じるのか、どのような不安を抱えているかという心理的な事実が重要です。そして、その第一歩が候補者に関する情報収集です。候補者の性格やスキルはもちろん、志望動機やキャリアの目標、興味・関心、意思決定スタイル、モチベーションリソース(やる気の源泉)、不安要因、ライフスタイルなどを面接中に把握することが重要です。例えば残業時間が少ないことを重要視している候補者に対しては、質疑応答の中で候補者がプラスに感じられるような情報提供を行いましょう。
採用面接におけるシーン別質問集
ここからは採用面接で活用できるシーン別質問集をご紹介します。面接では「深掘り」が基本となるため、これらの質問を投げかけ対話するだけでは、候補者の人となりを把握することは難しいです。あくまで参考としてご活用ください。
職務適性を見極める採用面接質問10選
職務適性とは、個人の能力・性格・価値観が、特定の職務や業務内容にどの程度適しているかを示す概念です。以下の観点を踏まえて質問しましょう。
- 業務遂行力
- 思考力
- チームワーク
- 働き方のスタイル
質問例
- 最も難しかった業務や活動は何ですか? どう乗り越えましたか?
- やり切ったと感じた仕事やプロジェクトは何ですか?
- 長期間にわたる業務で、特に苦労したことは何ですか? どう乗り越えましたか?
- プレッシャーやトラブルに直面したとき、どのように対応しましたか?
- 未知の領域に挑戦した経験を教えてください。
- 専門知識やスキルを学ぶ際、どのように習得しましたか?
- ミスをした際、どのように対処し、何を学びましたか?
- 周囲と意見が対立したとき、どのように調整・交渉しましたか?
- チームで成果を上げた経験を教えてください。
- 仕事で困ったとき、どのように周囲に相談しましたか?
過去の経歴を見極める採用面接質問10選
過去の経歴を深堀する上で、下記の観点を踏まえて質問しましょう。
- 業務経験/実績
- 強み
- チームでの役割・協働経験
- 課題対応力・困難への向き合い方
- キャリアの志向
質問例
- 最も大きな成果を上げた経験と、その要因を教えてください。
- 最も難しかった業務や活動は何ですか? どう乗り越えましたか?
- これまでの業務で活かせたスキル・専門知識は何ですか?
- 新しい業務やプロジェクトに挑戦した経験を教えてください。
- チームでリーダーシップを発揮した経験はありますか? どのようにメンバーを導きましたか?
- チームの意思決定にどのように関わり、どのような影響を与えましたか?
- 前例のない仕事や活動に取り組んだことはありますか? どう考え、行動しましたか?
- 困難な状況が続いたとき、どのようにモチベーションを維持しましたか?
- これまでのキャリア選択の基準を教えてください。
- 今回の転職/就職活動の軸は何ですか?
退職理由を見極める採用面接質問10選
退職理由を正確に把握するためには、まず 退職の背景(その妥当性を含む) を探ることが重要です。背景を明確にした上で、候補者のこれまでの言動や価値観に 一貫性があるか を見極めることも大切です。
質問例
- 退職を決断した最も大きな理由を教えてください。
- 退職を決断する際、特に悩んだ点は何ですか?
- 退職を決意するまでに、どれくらいの期間を要しましたか?
- 上司や会社に改善の相談をしましたか?その際の対応や結果を教えてください。
- 退職を決める前に、問題を解決するためにどのような行動を起こしましたか?
- 退職以外に、どのような選択肢を検討しましたか?
- 退職の決断に対して、周囲(家族・同僚・上司)はどのような反応を示しましたか?
- 今回の退職理由と、過去の退職理由に共通点はありますか?
- 転職活動ではどのような会社を探しましたか?また、前職と比較して特に重視したポイントは何ですか?
- .次の職場で、今回の退職理由と同じような問題が発生した場合、どのように対応しますか?
就職・転職活動状況を見極める採用面接質問10選
採用面接では、候補者の就職・転職活動の状況や意欲を正確に把握することが重要です。候補者の現状や転職の本気度を見極めることで、候補者・企業に最適な選考プロセスを踏むことができます。特に以下の観点から候補者の活動状況を確認しましょう。
- 転職活動の進捗
- 転職の本気度
- 企業選びの基準
- 競合との比較
- 転職時期
質問例
- 現在、何社ほど企業を受けていますか?
- 他の企業ではどの段階まで進んでいますか?
- いつ頃から転職/就職活動をしていますか?
- 転職活動のきっかけは何ですか?
- 転職先を選ぶ上で、一番重要視しているポイントは何ですか?
- これまでの転職活動で、応募企業の共通点はありますか?
- 当社と他の応募企業を比較したときに、どのような違いを感じますか?
- 現在選考が進んでいる企業の中で、最も魅力を感じているのはどこですか?
- 現在、在職中ですか?それとも退職済みですか?
- 転職のタイミングについて、いつ頃から新しい職場で働きたいと考えていますか?
勤勉性を見極める採用面接質問10選
勤勉性は、仕事への取り組み方や成長意欲を判断する上で重要な要素です。以下の観点を踏まえて質問しましょう。
- 継続的な努力
- 自己管理能力
- 仕事の責任感と粘り強さ
- 向上心と学習意欲
質問例
- 長期間継続して取り組んだことは何ですか? 具体的なエピソードを教えてください。
- 最も苦労して成し遂げた経験は何ですか? どう乗り越えましたか?
- 仕事や学習で、目標を達成するためにどのように取り組んで来ましたか?
- 物事が計画通りに進まなかった経験はありますか?その時どのように対応しましたか?
- 業務のミスや抜け漏れを防ぐために、どのような工夫をしてきましたか?
- 途中で諦めそうになった経験はありますか? どのように乗り越えましたか?
- 「この仕事は向いていない」と思ったことはありますか? それでも続けた理由は何ですか?
- 自分の能力以上の難しい仕事に挑戦した経験はありますか? どう取り組みましたか?
- 現在足りないと感じているスキルは何ですか? どのように克服しようとしていますか?
- 最近、新しく学んだことは何ですか? どのように活かしていますか?
コミュニケーションを見極める採用面接質問10選
コミュニケーション能力は、職場での円滑な関係構築や業務の成果に直結する重要なスキルです。コミュニケーション能力を分解した以下の観点を踏まえて質問しましょう。
- 感受性
- 論理的思考能力
- 表現力
- 思考力
質問例
- 相手の意図を誤解し、問題が生じた経験はありますか? どのように対処しましたか?
- これまでの人生で相手の気持ちを察して、先回りして対応した経験を教えてください。
- 周囲と意見が対立した際、どのように調整・交渉しましたか?
- 自分の意見や行動に対して批判を受けたとき、どのように対応しましたか?
- 最も難しかった業務や活動は何ですか? どう乗り越えましたか?
- トラブルやミスを経験したことはありますか? 事前に防ぐ方法はありましたか?
- 相手に納得してもらうのが難しかった経験はありますか? どう対応しましたか?
- 原因の特定が難しかった問題に取り組んだことはありますか? どう解決しましたか?
- 誤解された経験はありますか? どのように誤解を解きましたか?
- 仕事や学校生活で大きな問題に直面したとき、どのように原因を分析しましたか?
協調性を見極める採用面接質問10選
協調性とはいろいろな価値観や考えを持つ人たちと折り合いをつけ、互いに協力し合う行動能力や態度を指します。協調性を分解した以下の観点を踏まえて質問しましょう。
- チームワーク
- 柔軟性
- 共感力
質問例
- チームで協力して成果を上げた経験はありますか? 具体的に教えてください。
- チームでリーダーシップを発揮した経験はありますか? どのようにメンバーを導きましたか?
- チームの意思決定にどのように関わりましたか? あなたの意見が影響を与えた事例はありますか?
- 周囲と意見が対立した際、どのように調整・交渉しましたか?
- 最も適応が難しかった環境の変化は何ですか? どう対処しましたか?
- 価値観の異なる人と協力した経験はありますか? どのように対応しましたか?
- 進行中のプロジェクトが急に方向転換した経験はありますか? どのように対応しましたか?
- 最近ストレスを感じた出来事はありますか? どのように対処しましたか?
- 誰かの気持ちを深く理解しようと努めた経験はありますか? どのような状況で、どう対応しましたか?
- 仕事や日常生活で、誰かをサポートした経験はありますか?
主体性を見極める採用面接質問10選
「主体性」とは、本来 「自分の意志と判断で行動すること」 を指します。しかし多くの企業では 「与えられた課題に素直に取り組む力」 を「主体性」として評価している場合があります。特に、既存のルールや勝ちパターンが確立された企業では、「適応力や従順さ」 が求められる傾向があります。一方、変革を必要とする企業やベンチャーでは、本来の意味での主体性、つまり 「自ら考え、行動し、時にはルールを疑う力」 が重要になり、企業によって必要となる「主体性」は異なります。ここでは1~5で「適応力や従順さ」 、6~10で「自ら考え、行動し、時にはルールを疑う力」を見極めるための質問をご紹介します。
質問例
- 納得できないルールや方針に従った経験はありますか? どのように対処しましたか?
- 他人から短所や改善点を指摘されたことはありますか? どのように対処しましたか?
- ミスをした際、どのように対処し、何を学びましたか?
- 自分の間違いを認めるのが難しかった経験はありますか? どのように対処しましたか?
- 自分の考えを変えた経験はありますか?きっかけは何でしたか?
- 周囲が気づいていない問題に対して、自ら行動したことはありますか? 具体的なエピソードを教えてください。
- 指示なしで自ら動いた経験はありますか?どのような場面でしたか?
- 前例のない仕事や活動に取り組んだことはありますか? どう考え、行動しましたか?
- ルールや方針を見直し、より良い方法を提案したことはありますか? その動機と行動を教えてください。
- 自分の判断で行動し、成果につながった経験はありますか? どのような場面でしたか?
思考力を見極める採用面接質問10選
思考力とは、物事を深く考え、合理的な判断や新しいアイデアを生み出す能力を指します。
採用面接では、思考力を構成する以下の要素をもとに、候補者の思考力を見極めることが重要です。また、面接の回答内容を通じて、候補者の思考力の高さを評価できます。どこまで深く考え、論理的に答えられているかにも注目しましょう。
- 論理的思考力
- 批判的思考力
- 創造的思考力
- メタ認知能力
質問例
- 原因の特定が難しい問題に取り組んだ経験は? どう解決しましたか?
- 最も苦労して成し遂げたことは何ですか? 具体的なエピソードを教えてください。
- 大きな問題に直面した際、その原因をどのように分析しましたか?
- 「正しい」と思っていたが、後で間違いに気づいた経験はありますか? どのような状況でしたか?
- 同僚が新しいアイデアや奇抜なアイデアを提案した場合は、どのように対応してきましたか?
- 仕事や学校生活の中で起こりうる問題を想定し、回避策を見出したことはありますか?実際のエピソードを教えてください。
- 新しい視点やアイデアで問題を解決した経験はありますか? 具体的に教えてください。
- これまで思いついた中で最もユニークなアイデアを教えてください。それがどのように役立ちましたか?
- あなたの強み・弱みを教えてください。
- 他人からのフィードバックを受け成長した経験を教えてください。その際、どのように解釈し、行動に反映させましたか?
アイスブレイクで使える採用面接質問10選
面接では、冒頭でアイスブレイクを挟むことが重要です。アイスブレイクには、候補者の緊張を和らげ、自然な受け答えを引き出しやすくする効果があります。リラックスした状態で話せることで、準備した回答ではなく、本来の人柄や考え方を把握しやすくなります。例えば、当日のアクセス、通信環境、履歴書やESで事前に情報が伝わっていると本人が認識できるもの、天気や時事問題などがおすすめです。これらの身近な話題は重すぎず、自然に会話を始めるのに適しています。
質問例
- 今日はお越しいただき、ありがとうございます。ご自宅からこちらまでどれくらいかかりましたか?
- (オンライン面接時)背景がユニークですね!それはどこの写真ですか?
- (オンライン面接時)今日、弊社の近くだと夕方から雪が降るそうですよ。オンライン面接だと心配しなくて良いのが嬉しいですね。〇〇さんのエリアの天候はいかがですか?
- 履歴書を拝見したんですが、趣味が〇〇と書いてありましたね。きっかけは何ですか?
- 今〇〇を専攻されているんですね。実は私も大学で同じ専攻だったんです。どういう研究をしているのですか?
- 〇〇大学出身なのですね。実は私も同じ大学出身です。当時食堂で人気だった限定20食のコロッケそばは今もありますか?
- ここ数日、寒い日が続きますね。この部屋は寒くないですか?大丈夫ですか?
- 今日は風が強いですね。お足元は大丈夫でしたか?
- 今回のオリンピックでは金メダルラッシュですよね。どの競技か、ご覧になりましたか?
- もうすぐ万博が始まりますね!ご興味ありますか?
採用面接官に求められること
採用面接官は、面接で得た情報をもとに、企業の将来を見据えた適切な判断を下し、ミスマッチを防ぐことが求められます。ここからは企業で重要な役割を担う採用面接官に必要なスタンスやスキルをご紹介します。
面接官の役割
面接官は、候補者を選ぶ立場であると同時に、企業が選ばれる立場でもあるという意識を持つことが重要です。適切な質問を通じて、候補者の資質や能力を見極めることが求められますが、一方で、面接は企業の魅力を伝える場でもあります。もし面接官の対応が不誠実であったり、企業の強みを適切に伝えられなかったりすれば、優秀な人材を逃してしまう可能性があります。そのため、面接官は、候補者と対話を重ねながら、双方のマッチ度を確認し、企業の魅力を的確に伝える役割を担っています。
面接官に求められるスタンス
面接官には、事実を引き出し、思い込みや先入観で評価しない姿勢が求められます。候補者の話を最後まで聞かずに判断したり、個人的な価値観に基づいて評価したりすると、適切な人材を見極めることができません。面接では、候補者の経験やスキルを正しく把握するために、具体的なエピソードを引き出す質問をすることが重要です。また、曖昧な回答があれば、その背景や理由を深く掘り下げ、事実に基づいた判断を心がける必要があります。
面接官に求められるスキル
見極めの観点で面接官に求められるスキルの一つは「事実を追求するしつこさ」です。応募者の発言を鵜呑みにしたり、表面的に魅力的な回答で満足してしまうと、候補者を深く理解することが難しくなります。そのため、意見ではなく具体的な事実を掘り下げる力が重要です。一方、フォローの観点では「相手の気持ちに最大限寄り添う共感力」も不可欠です。表面的な理解にとどまらず、候補者の価値観や不安に真摯に向き合うことで信頼関係を築けます。相手の気持ちを理解し、不安を解消するために自社の魅力を適切に伝える力も求められます。
採用面接官の注意点
採用活動では応募者の権利を尊重し、適性や能力と無関係な個人情報を収集しないことが重要です。これに違反すると、職業安定法第5条の4や労働大臣指針(平成11年労働省告示第141号)に抵触する可能性があるため注意が必要です。採用面接官は、客観的かつ公正な評価を意識し、先入観や個人的な好みに左右されないようにしましょう。
採用面接で避けるべきNG質問
採用面接では、応募者の適性や能力と関係のない質問は避けましょう。特に、国籍、本籍、家族構成、家族の学歴・職業・収入、資産の有無、宗教、思想、婚姻状況、妊娠・出産の予定など、個人のプライバシーに関わる質問が該当します。例えば、「親の職業は?」「結婚後も働く予定は?」「お酒は飲める?」といった質問は、公平な採用基準から逸脱しており、不適切です。さらに、圧迫面接のように意図的にストレスを与える質問は、企業のイメージを損ない、候補者にネガティブな印象を与えるため避けましょう。面接官は、公平性を保ち、業務に必要なスキルや候補者の経験に基づいた質問を行うことが求められます。
面接官が陥りやすいバイアスとは?
面接では、面接官が無意識のうちにバイアス(偏見)に影響されることがあります。代表的なものをいくつかご紹介します。バイアスが評価に反映されないよう、まずは面接官自身がバイアスの存在を認識しておくことが重要です。
- 確証バイアス
一度抱いた仮説や信念を検証する際に、それを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向。「人は見たいものしか見ない」とも言われる。
- 類似性効果
自分と似たタイプの応募者を好む傾向。多様性を損なうリスクがあり、異なるタイプの優秀な人材を見逃す可能性がある。
- ハロー効果
顕著な特徴に引きずられ、他の評価まで高くなる現象。例えば、一流大学出身だから能力も高いと判断してしまう。
- ホーン効果
一つの悪い特徴が全体の評価を下げる現象。例えば、挨拶が小さいだけで能力まで低く見てしまう。
- 初頭効果
面接の序盤で形成された印象が評価を左右する傾向。「人は5分でわかる」といった考え方はこれに影響されている。
- バンドワゴン効果
周囲の意見に流される現象。自分は不合格と思っていても、他の面接官が合格と判断すると評価を変えてしまう。
- アンカリング効果
直前に見た他の人の評価に引きずられ、相対的に候補者をランク付けする現象。例えば、前の応募者が優秀だったため、次の人を過小評価してしまう。
面接官のスキル向上のためには
面接官のスキル向上には、自己認知の強化が不可欠です。人は無意識のうちにバイアスの影響を受けるため、まずはバイアスを自覚することが対策の第一歩となります。自分の価値観や思考の偏りを意識できる機会を作ることが重要です。
複数人での面接とフィードバックの重要性
面接官のスキル向上のトレーニングの一環として、複数人での面接とフィードバックの機会を設けることも効果的です。同じ候補者を評価しても、面接官ごとに判断が異なることがあり、その違いを議論することで自身の評価の偏りやバイアスに気づくことができます。特に、面接後の評価のすり合わせディスカッションを通じて、他者の視点を取り入れることで、より客観的な判断力を養うことが可能です。面接は経験を積むことで向上するスキルであり、単に回数をこなすだけでなく、振り返りと改善を重ねることが重要です。
採用面接の質を高めるトレーニングとフィードバックサービス
弊社では、面接官のスキル向上を目的としたトレーニングプログラムを提供しています。面接の「インタビュー・アセスメント・ジャッジ・フォロー」の全工程を体系的に学べる講座から、実際の面接に同席し、面接官のクセや改善点をフィードバックする実践型サービスまで、幅広いプログラムをご用意しています。ご興味をお持ちいただけましたら、下記リンクにお進みいただけますと幸いです。
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